林 正和
医療法人 泊和会 ごめん林眼科
院長
林 正和
Hayashi Masakazu
Doctor's Message

報恩感謝

Career

徳島大学医学部卒業。同大学病院、高知県南国市関連病院での臨床研修を経て、南国市後免町にて開業。南国市での研修医時代に師事した恩師の遺志を継ぐべく、地域に根差した診療に注力し、開業20周年を迎えた現在では、白内障手術執刀数1万件を超えるなど地域で人気の医院に成長。眼科医会活動で地域医療格差、介護在宅医療、災害対策、学童近視増加、ロービジョンケアなどについて学んだことを契機に、隣県徳島への分院開設、近視治療やロービジョンケア専門部門設置に加え、加齢がリスクとされる緑内障や加齢黄斑変性の予防目的に、水素ガスを用いたアンチエイジングの取り組みも行うなど、多岐の領域に対応できる眼科専門施設を展開している。

Story

漁村出身のかけだし研修医が、恩師との出会いにより大きく飛躍できた眼科医人生

人口1000人にも満たない漁村で生まれ育ち、中学までは実家の漁業を手伝っていました。地元・徳島大学医学部を卒業後、同大学眼科医局に入局し、眼科医人生が始まりました。私に大きな転機が訪れたのは、研修医2年目、高知県農協総合病院(現:JA高知病院)への赴任が決まった時でした。

当時、その病院には、高木義博名誉院長(大阪大学出身、元徳島大学助教授)がおられ、地域医療への貢献だけでなく、多くの若手眼科医育成にご尽力されていました。高木先生が考案された高木式翼状片手術法は、低い再発率と整容面での患者満足度が高い術式として高く評価されており、徳島大学では翼状片手術の標準術式として採用されていました。

赴任が決まった際には、先輩医師から高木先生の偉大さや若手医師教育の厳しさについてよく聞かされ、かけだしの研修医であった私は緊張と不安の中での赴任となりましたが、赴任初日から高木先生と机を並べ、先生の診療技術や患者さんとのコミュニケーションの様子を生きた教材として目の当たりに学ぶことができたことは眼科医として成長する上で大変有益であったことはもちろん、高木先生ほどの経験豊富で優れた臨床医であっても、医学の進歩に遅れないように、日々学び成長し続けることの重要性を教えていただいたことは、医師として成長する上で大きな財産となりました。

高木先生から教わったことで今でも感銘を受け続けていることは、翼状片手術の際に何気なく行っていた結膜切開の際に、角膜周辺部わずか数ミリの部分は避けるようにと指導されたことです。それは角膜上皮再生や異常結膜侵入防止に役立つ角膜輪部幹細胞を残すことが翼状片再発防止に役立つ、という意味でした。この時まとめた手術成績を「高木式翼状片手術の改良」というタイトルで日本臨床眼科学会にて発表し、私の最初の医学論文となりました。高木先生から教わった「手術においても科学的視点を忘れてはいけない」という教訓は今の時代でも通用する普遍的な教えとして、今も大事に守っています。

緑内障診療経験から視覚障害者支援の重要性に気づき、ロービジョンケア部門を立ち上げる

徳島大学眼科医局に帰ってから、大学病院で約2年間にわたり緑内障診療の責任者を務めました。多くの緑内障は加齢と共に眼圧が上昇することが原因となって視神経が障害され視野が欠けていく病気で、眼圧を十分下げることで視野障害の進行抑制は可能ながら、現在の医療レベルを持ってしても日本人の失明原因1位となっています。

以前は、眼科医としてできることは手術治療までだったのですが、近年眼科医療においては、治療を尽くしても改善することのない視覚障害に至った患者さんに対して、視覚障害者支援(ロービジョンケア)の重要性が唱えられ、ロービジョンケア専門スタッフによるきめ細かな視覚障害者支援が可能となってきています。

当院には、幸い国内有数のロービジョンケア施設で研鑽を積んだ専門スタッフが在籍しており、視覚障害者に対して、通常診療では実現できない、時間をかけた丁寧なヒアリングを行うことで、視覚障害者が抱える課題や希望を詳細に把握し、それに応じた最適な提案を行っています。具体的には、患者さんの残存する視力や視野を最大限に活用するための補助具(例:拡大鏡や音声時計など)を実際に試してもらい、最適な選択肢を見つけてもらえるようサポートを行っています。また、必要に応じて補助具申請手続きや身体障害者認定の案内など、行政手続きに関する支援も行っています。

地域医療への情熱と挑戦

現在、眼科医療現場では地方における医師不足や在宅医療の必要性が深刻な課題となっています。特に、交通インフラが不十分な地方では、視覚障害により車移動が困難な患者さんへの医療提供課題、眼科医の地域偏在問題があり、医師や医療機関単独では解決が難しい状況です。

私自身も、昨年までの4年間、早明浦ダムのある山間地域での眼科医不足が深刻となっていた中、週2回、自院の診療の合間にタクシーで片道1時間かけて診療応援に出向いていました。高齢の患者さんが、目薬を受け取るためだけに長時間かけて通院せざるを得ない状況の中、微力でしたが大変喜ばれました。

この経験を経て、5年前に同じく眼科医空白地域であった故郷(徳島県阿南市)に分院の開業を決意しました。幸い、多くの信頼できる仲間に恵まれ、新幹線もない四国では珍しい県をまたぐ分院展開を実現できました。徳島市まで車で1時間以上かかっていた通院時間がなくなったこと、白内障手術を地元で受けることができるようになったことなど、地域の方から喜びの声を聞くようになり、地域医療に貢献できていることを嬉しく思っています。

これからの眼科医療課題と新たな予防医学への取り組み

近年、子どもの近視や高齢者の加齢黄斑変性の増加は眼科医療における新たな課題として注目されています。子どもの近視増加は、スマホや携帯型ゲームの普及が大きな要因とされ、成人後の緑内障や黄斑変性のリスクが懸念されています。近視進行抑制治療として、成長期に生じる眼軸の成長速度を抑制する試みが行われるようになっており、当院でも点眼治療、就寝時コンタクトレンズ装用(オルソケラトロジー)などによる近視抑制治療を精力的に行っております。

高齢者の加齢黄斑変性は網膜中心部(黄斑)に老廃物が蓄積することを契機に病的新生血管が発症し、出血や浮腫が生じることで中心視力が障害される病気で、放置すると著しく視力低下をきたし、失明に至ることもあるため、高額な硝子体注射薬による治療の継続が必要となってしまい、医療経済的にも問題となってきている疾患です。この加齢黄斑変性の原因として酸化ストレスの関与が注目されており、抗酸化治療の取り組みによる予防、進行抑制が期待されています。

酸化ストレスとは、呼吸に伴い発生する活性酸素のうち悪玉活性酸素によって身体が傷つく現象を表現している言葉ですが、この悪玉活性酸素は加齢黄斑変性にとどまらず、多くの加齢に伴う疾患の原因として注目されています。眼科分野では、緑内障においても、加齢に伴う抗酸化力の低下と酸化ストレス増加が緑内障性視神経障害進行の原因の一つと考えられています。緑内障患者では、緑内障ではない人に比べて抗酸化力の低下や酸化ストレスの増加が有意に認められた研究結果もあり、眼圧下降に加え、抗酸化作用のあるサプリメント摂取など、抗酸化の試みが始まっています。

こうした背景の中で、当院でも近年酸化ストレス対策として注目されている水素に着目し、安全で効率的に水素を体内に取り込める高濃度水素ガス吸入療法を取り入れたアンチエイジングセンターを設立しました。気体である水素ガスは短時間で体内全体に行き渡り、悪玉活性酸素にのみ反応し、水に中和するという特性があることから、緑内障や加齢黄斑変性などの眼疾患にとどまらず、酸化ストレスが原因とされる様々な疾患の予防や進行抑制に活用していきたいと考えています。

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林 正和(Hayashi Masakazu)
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